東京現音計画#18〜クリティックズセレクション2:中井悠〜ZOOMUSIC

日程:2022年12月19日(月)19:00開演(開場18:30)
会場:杉並公会堂小ホール(東京都杉並区上荻1-23-15)

プログラム監修:中井悠

ひとりの研究者・批評家にプログラム監修を託すクリティックズセレクション、第2弾は中井悠が登場。
瞬く間に世界の標準アプリとなったZoomを、楽器として捉える試み。米大学院とのヴァーチャルレジデンシーや全世界への作品公募を経て、ホールでの実演と、Zoom配信の両刀使いでお贈りします。
国際的に活躍するアーティストでもある中井、東京現音計画のヴィルトゥオーゾ陣との邂逅が生み出す化学反応に、乞うご期待!

プログラム:
福田考樹《staff meeting in progress》 (2022)
古賀晶子 《m(usi)c》(2022)
ヴァルン・キショール《peculiar convergence chamber》サクソフォン、チューバ、ピアノのための(2022)
ジェン・カービィー《music: a movement》(2022 公募作品)
G・ダグラス・バレット《I AM SITTING IN A ZOO (ON ZOOM)》アルヴィン・ルシエを偲んで(2022)
荒野愛子《music, in volumes|巻物音楽》(2022)

演奏:東京現音計画 
有馬純寿(エレクトロニクス)、大石将紀(サクソフォン)、神田佳子(打楽器)、黒田亜樹(ピアノ)、橋本晋哉(チューバ)

主催:東京現音計画
舞台監督:鈴木英生(カノン工房) 
制作:福永綾子(ナヤ・コレクティブ)
フライヤー&ロゴデザイン、写真:松蔭浩之
協力:東京大学副産物ラボ+芸術創造連携研究機構、帝塚山学院大学、有限会社ハリーケン、モモ・カンパニー

助成:公益財団法人野村財団、芸術文化振興基金助成事業

【ホール入場チケット】
全席自由(税込)
前売一般3000円、前売大学生・専門学校生1000円、当日券3500円
カンフェティ割2500円(カンフェティ限定、先着順)

高校生以下無料(要予約。問い合わせ先のメールアドレス宛にお申し込みください)

ホール入場チケット取扱い:カンフェティ *発売開始10/31(月)10:00〜
Web:https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=69420&
フリーダイヤル:0120-240-540(平日10:00〜18:00)
・ご予約後、セブン-イレブン店頭にてチケットをお受け取りください。
・Webからお申込の際には、クレジットカード決済、またはチケット受け取り時にセブン-イレブン店頭でお支払いの、どちらかをお選びいただけます。
・クレジットカード決済を選択された場合、チケット受け取りはお申込みより4日後からとなります。

Confetti[カンフェティ]

【Zoom配信】
・視聴無料
・視聴方法:下記フォームよりお申し込みください。
 https://forms.gle/9nXaMqcj4kSfWF256
・視聴申し込み締め切り:2022年12月18日(日)24時まで

問い合わせ:東京現音計画事務局(ナヤ・コレクティブ)
メール:nayac@mc.point.ne.jp
電話:050-5532-5022(平日15:00〜19:00)




ZOOMUSICセレクション

COVID-19の蔓延はかつてない規模で人間の生活を一変させました。感染を防ぐためにソーシャル・ディスタンスが謳われ、物理的接触が禁じられる一方で、禁じられた物理的接触を補うためにヴァーチャルな接触を可能にするさまざまな遠隔技術がウイルスと同じくらいの速さで広がったことはまだ記憶に新しいでしょう。音楽の営みもまたこの流れに呑み込まれ、ZOOMをはじめとするオンライン・コミュニケーション・システムを使ったコンサートがあちこちで行なわれるようになりました。ただし、こうした試みのほとんどは、それまで慣れ親しんできた音楽体験のヴァーチャルな再現を目指すばかりで、メディア環境の変化を積極的にとらえて、作曲と演奏、そして視聴の方法を根底的に再考し、新しい音楽を新しいかたちで創造するきっかけとする試みはなかなか見当たりませんでした。

このコンサートではZOOMを、失われた営みをシミュレートするための透明な装置ではなく、固有の特性を持った「楽器」と見なし、その楽器によってのみ演奏・視聴可能な音楽のジャンルがあったとすればという空想にもとづき、世界各地の作曲家や音楽家からじっさいにそのようなZOOMUSICを集めて、オンラインとオフラインで同時に上演します。

あらゆるテクノロジーと同じく、ZOOMもそれを生み出した政治経済的な力学と歴史的な状況によって癖づけられ、さまざまなことを可能にしながら、さまざまなことを抑制することで機能しています。このシステム固有の信号処理の仕方、インターフェース・デザイン、音と映像の結びつきや不確定性の度合いなどをくわしく探れば探るほど、「演奏者/観客」、「楽譜/楽器」、「生/再生」、「音楽/音楽以外」などの凝り固まった概念区分は解きほぐされ、これまでとは別の仕方で音楽を構想、演奏、経験することを余儀なくされます。たとえば音楽制作は映画制作とほとんど見分けがつかなくなり、「作曲」や「作品」というきわめて観念的な単位は疑いの目を向けられるかもしれません。またZOOMUSICの演奏をあえてオフラインで経験することは、テレビ番組の公開放送に立ち会うような感覚を生み出し、対面式コンサートの意味を変えてしまうかもしれません。

タイトルが喚起する動物園さながら、新奇の音楽と音楽もどきたちが会場の内外をうろつきまわる(ポスト)コロナ時代のコンサートにふるってご参加ください。たったひとつ事前にお願いしたいのは、オンラインとオフラインのどちらで経験するのかを、それぞれの観客が(良いクリティックさながら)セレクトすることです。

中井悠(No Collective/Already Not Yet/副産物ラボ)


中井悠 ◉ You Nakai
No Collectiveの一員として音楽(家)、ダンスもどき、お化け屋敷、わらべ歌などを世界各地で制作(http://nocollective.com)、出版プロジェクトAlready Not Yetとして実験的絵本やことわざ集などを出版(http://alreadynotyet.org)。制作の傍らで音楽、影響や癖について研究を行なう。最近の仕事としてデーヴィッド・チュードアの研究書 Reminded by the Instruments: David Tudor’s Music(オックスフォード大学出版局、2021年)や、チュードアの未発表音源を収めた二枚組LPと論考Monobirds: From Ahmedabad to Xenon(TOPOS、2021年)。2021〜22年ヴァージニア大学大学院作曲コースのヴァーチャル・レジデンシー・アーティスト、2022〜24年札幌国際芸術祭ラボ「サイド・プロジェクト」のアーティスティック・リサーチャー。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)+芸術創造連携研究機構准教授。東大副産物ラボ主宰(http://selout.site)、令和4年度東京大学卓越研究員。